アスベストによる健康影響について

2012.11.22

アスベストは、直径約0.02?0.35?の非常に細かい繊維から構成される鉱物です。
(ヒトの髪の毛の直径の約1/100?1/2000)

アスベストを含む空気を吸入すると、気道から肺の末梢に吸い込まれ、胸膜と呼ばれる肺を覆う薄い膜や気管支に影響を与え、障害を引き起こします。

アスベスト関連の主な病気は以下のとおりです。

(1)石綿(アスベスト)肺

肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。肺の線維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられますが、アスベストのばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺とよんで区別しています。職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、潜伏期間は15?20年といわれております。アスベスト曝露をやめたあとでも進行することもあります。

(2)肺がん

アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。また、喫煙と深い関係にあることも知られています。アスベストばく露から肺がん発症までに15?40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

(3)悪性中皮腫

肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。若い時期にアスベストを吸い込んだ方のほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。潜伏期間は20?50年といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

一旦吸い込んだアスベストの一部は、異物として痰のなかに混ざり体外に排出されますが、大量に吸い込んだ場合等は除去されずに肺内に蓄積されると言われています。このため、吸引量と悪性中皮腫などの発病との間には相関関係が認められていますが、現時点では「どれくらい吸入すると、疾病が発症するのか」は解明されていません。

最後に、アスベストによる健康影響は発症までの潜伏期間が長いと言われています。職務上扱っていた方は、その作業内容にもよりますが比較的暴露時間が長いと思われますので、定期的に健康診断を受けることをお勧めします。また、現在では労働安全衛生法により、事業主に健康診断の実施義務があります。

アスベストを吸い込んだ可能性のある方で呼吸困難、咳、胸痛などの症状がある方、その他ご心配な方は近隣の労災病院等の専門医療機関にご相談することをお勧めいたします。

(出典:環境省、厚生労働省、独立行政法人 環境再生保全機構)

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