発がんのおそれがある有機溶剤10物質が特定化学物質に移行されます

2014.08.30

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成26年8月20日政令第288号)が公布されました。
これまで、有機溶剤として措置対象であった以下の有機溶剤10物質が職業がんの原因物質となる可能性があることを踏まえ、特定化学物質(第2類物質)としての措置対象物質に変更されます。

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この改正により、これまでの有機溶剤中毒予防規則と同様の措置

○化学物質の発散を抑制するための設備の設置
○作業環境測定の実施
○特殊健康診断の実施
○作業主任者の選任
  但し、「特定化学物質作業主任者」←「有機溶剤作業主任者技能講習修了者」から選任

などに加え、特定化学物質障害予防規則の特別管理物質「特別有機溶剤等(旧エチルベンゼン等)」に追加されることで、

○「健康診断、作業環境測定の結果、作業の記録など」→30年保存が義務化
○適用業務はこれまでと同様「有機溶剤業務」に限定されるが、対象濃度範囲が拡大
(エチルベンゼンや1,2-ジクロロプロパンと同様、その物質を重量の1%を超えて含有する製剤等や、その物質を重量の1%以下含有し、かつ他の有機溶剤や特別有機溶剤と合わせてその重量の5%を超えて含有するものを製造し、又は取り扱う作業場が作業環境測定実施の対象となります。評価方法は従前のエチルベンゼン等の測定に準じたものになると考えられます。)
などの措置が追加されます。

また、これら10物質の他に、家庭用殺虫剤や文化財用燻蒸剤として使用されるジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(DDVP)特定化学物質に新規追加されています。

今回公布された改正は、平成26年11月1日から施行されますが、経過措置として

○上記の化学物質を使用する作業場で、これまで低濃度のため有機則における対象とならず、新たに特定化学物質としてのみ該当する作業場については平成27年10月31日、
○ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(DDVP)の容器又は包装への表示は平成27年4月30日までの間、

猶予されます。

印刷業者における胆管がん被害の発生等の事例もあり、近年発がん性物質に対する規制の強化が進められています。
今回の改正の対象となった特別有機溶剤の中には、一般に良く使用されている洗浄剤・塗料・接着剤・合成樹脂原料に含まれるものもあり、認識されないまま日常業務で使用されているかも知れません。この改正を機会に事業所でご使用の溶剤類の成分表(SDS安全データシートや容器の表示)をご確認頂き、必要な対策をされることをお勧めします。
また、業務上の有害物質による健康被害を未然に防ぐため、作業環境測定は有効な状況把握ツールであり、是非ご活用下さい。弊社では、様々な作業場の作業環境測定を行っております。該当する作業場がございましたら、一度ご相談下さい。

<参考>

厚生労働省HPより「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」と関係省令案要綱の諮問と答申
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052035.html

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成26年8月20日政令第288号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H140820K0010.pdf

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令新旧対照条文
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H140820K0011.pdf

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