世界初、アスベストの無害化と粉塵抑制を高出力レーザ照射で実現

2022.02.17

2022年1月21日
日本電信電話株式会社(ニュースリリース)より

~アスベスト解体作業者の健康リスクを大幅に低減する技術~

日本電信電話株式会社「NTT)は、高出力レーザの照射によってアスベスト(石綿)を繊維形状か
ら球形状に変形できることを確認。さらに、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)
を用い、レーザ照射に伴うアスベスト粉塵の飛散を抑制する技術を開発したと発表。一般的なアス
ベスト建材の除去作業では、有害なアスベスト粉塵の吸引によって、作業者に肺がんや悪性中皮腫
等の病気を引き起こすリスクがある。本技術を用いれば、アスベストを無害な球形状へ変形すると
ともに、飛散する粉塵量を抑制できるため、作業者の健康リスク及び周辺への漏洩リスクを大幅に
低減することが期待できる。

アスベストは建築物等の断熱材として広く使用されてましたが、現在では多くの国において使用が
禁止されています。アスベストが有害である主な理由は、その極めて細く尖った形状であると考え
られ、人体に吸入されると肺胞に沈着しやすく、長期に渡り肺の組織が傷つけられて遺伝子異常が
起こり、細胞ががん化する可能性が指摘されています。そのため、老朽化した建築物の解体に伴う
アスベスト除去は年々増加していますが、電動工具をはじめとする現状のアスベスト除去ツールは
有害な粉塵を周囲に飛散させるため、作業者や作業現場周辺をアスベスト粉塵のばく露から守る防
護を必要とします。このようなばく露リスクを根本的に回避するには、有害な粉塵を無害化するア
スベスト除去技術が求められています。

今後の展望

同社では、10kW級の高出力レーザに対応した回折光学素子を低廉材料であるシリコンで実現して
おり、アスベスト無害化のためのレーザ照射装置の低コスト化が可能。また、回折光学素子を用い
ることで、レーザ照射部分(レーザヘッド)を軽量且つ小型化することができ、狭い場所や天井な
どの従来工法では除去しにくい場所にも持ち込むことが可能になるとしている。
このようなレーザツールの実現へ向け、回折光学素子を用いて、光ビームの照射範囲を拡大するこ
とで、アスベスト含有塗材をできる限り短時間で無害化して除去できる技術や、レーザ光を直線形
状にすることで、アスベストを含む建材を安全且つ効率的に切断する技術の検討を行い、安全なア
スベスト除去技術の開発を通し、環境保全の実現に貢献していくとしている。

本技術の内容は、2022年2月21日(月)~27日(日)に開催される
SPIE (The international society for optics and photonics) Photonics West On-demand
で発表される。

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