アスベスト鉱石採掘を続ける街

2022.09.26

何かと話題のロシア。
そんなロシアのウラル山脈の東にアスベストと言う名の市がある。その名の通り、アスベ
スト(石綿)の鉱石の産出量で世界最大の街。欧米がまず規制しのちに使用が禁止され、
日本もそれに追随していることもあり、いまだに地域の基幹産業となっている街が有るこ
とに驚いてしまう。

採石場は深さ数百メートルのすり鉢状になっていて、底で動き回る巨大な重機が米粒のよ
うに小さく見える。現場を訪れた人の話によると、足元で、鉱石の粉が舞ってズボンに付
く。吸い込むと体に悪いと分かっているが、割り切って歩き回るほかない。

驚かされるのは、人々がごく普通の生活を営んでいること。ソ連時代に建てられたであろ
う集合住宅に住む人々。店でパンを焼く女性や通学する子どもたち。採石場近くに住んで
いて大丈夫だろうか、と心配になったとの事。

石綿の採掘・使用が世界的に禁じられる中、中国・インド・ロシア・カザフスタンなどア
ジアを中心とした諸国が世界の消費量の大半を占めている。アスベスト市は欧州メディア
で「石綿産業に依存する、時代遅れな街」と報じられているらしいが、アスベスト市にと
って石綿採掘は唯一無二の産業。住民達は採石場の閉鎖を恐れ、健康被害にも沈黙する。

公害は、地元が声を上げて初めて問題となるもの。アスベスト市では生きていくためにと
アスベスト(石綿)採掘がこれからも続くと思うと何とも言えない切ない気持ちになりま
すね。
                                                 (2021年8月中日新聞 小柳 悠志 氏の記事参照)

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