ヘリウムが足りない
2013.02.28
ヘリウム(He)の世界的な供給不足が問題になっており、日本国内でも入手が困難な状況が続いています。原因は新興国の使用量増大と、(日本にとっては)主な産出国であるアメリカの生産トラブルだと言われています。
アミューズメントで使用されている風船から医療・工業に到るまで、さまざまな業界でこの問題は波紋を広げています。 我々分析機関も例外ではなく、ガスクロマトグラフィー(GC)やガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS)のキャリヤーガスなど多くの装置で高純度のHeが使用されています。
GCキャリヤーガスを窒素などの代替ガスに変更するのは、ターゲットとする物質の分離度や検出感度を確認しながら比較的簡単に行うことが出来ます。弊社でも確認してみましたが、分離度・検出感度ともに大きな変化は見られませんでした。(※これは、弊社が確認したメソッドと対象物質のみに有効な結果ですので、確認実験はぞれぞれに必要だと思います。)
GC-MSのキャリヤーガス変更についてはより多くの注意が必要なようです。多くの場合窒素や水素への変更を検討するようですが、排気効率・イオン化反応・コンタミネーション・還元反応等の問題をクリアしなければなりません。
Heの問題は、アメリカの生産トラブル解消や他国との取引などによって回復するのではないかという見解が多いようです。現状ではGC-MSのキャリヤーガスを変更するより、メソッドの調整などによって節約し、問題が解消されるのを待つほうが効率的だと弊社では判断しています。
しかしながら、今後も起こりうるこういった問題に対して、リスク分散などの対策を講じる必要があるのかもしれません
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