アスベストと世界文化遺産 ―世界文化遺産が抱える環境問題―
2021.02.08
現在世界中で新型コロナウイルスが蔓延している状況の中、卒業旅行や新婚旅行など
国内外への旅行に思いを馳せる方も多いのではないでしょうか?
旅行先として訪れる場所のひとつである文化遺産の建築物には、アスベストが使用さ
れているものがあることをご存じでしょうか?
16世紀から19世紀に火災や老朽化などで再建された世界文化遺産の建物であるイギリ
スのウェストミンスター宮殿はその一例です。
ウェストミンスター宮殿には、耐火性や耐久性などの理由でクリソタイルやアモサイ
ト等、様々な種類のアスベストが宮殿内のダクトや建物の吹き抜け、壁等に使用され
ており、長年の間、国会議員や職員がアスベストの危険にさらされていると専門家か
ら指摘がありました。2005年-2008年の間に行われた1000回を超える大気中のアスベ
スト濃度測定結果から、200箇所以上のアスベストで汚染された場所が特定されまし
た。*1*3
これらの調査結果から、現在ではウェストミンスター宮殿敷地内のアスベスト危険区
域は判明しており、アスベストの管理に関するガイダンスやアスベストの認識に対す
るトレーニングを行っているそうです。また、国会議員や職員がアスベスト危険区域
に入る際には、注意喚起やアスベスト問題の専門家に連絡するように周知されている
そうです。*2*4
アスベストに関する様々な問題は、文化遺産も例外ではありません。旅行先で文化遺産
を訪れた際は、建物に使用されているアスベストについて考えてみてはいかがでしょうか。
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