職場における腰痛予防対策 ~腰痛リスクアセスメント~
2024.07.09
はじめに
日本で腰痛に悩む人は約3000万人、国民の80%が一生に一度は腰痛を経験すると言われています。職場における腰
痛発生件数は、昭和53年をピークとして減少したものの、現在でも業務上疾病全体に占める割合が最も大きい疾病※
です。
職場における腰痛は、特定の業種のみならず多くの職種及び作業において見られます。労働者が健康・安全に働ける
ように適切な措置を講じて、快適な職場環境を作っていきましょう。下記の内容は厚生労働省の腰痛対策指針を一部
抜粋してまとめましたので、皆様の事業所での腰痛予防対策に、お役立てください。
※休業4日以上の要する腰痛は職業性疾病の6割を占める。毎年約4500~6000件報告されている。
腰痛の原因
①動作要因...腰部に動的あるいは静的な過度の負担
②環境要因...腰部の振動、寒冷、床・階段での転倒等
③個人的要因...年齢、性、体格、筋力、腰椎椎間板ヘルニアや骨粗しょう症等の既往症、 基礎疾患の有無、精神的な
緊張度など
(最近では、職場の対人ストレス等の心理要因も...)
腰痛の原因は複数存在するため、単純な予防だけでは発生リスクを軽減することは難しいです。したがって、腰痛予防
のためには、労働衛生管理体制を整備した上で、3管理(作業管理、作業環境管理、健康管理)と1教育(労働衛生教
育)を実施していくことが重要になります。また、腰痛予防対策を進めるに当たっては、それぞれの事業場で実際に行
われている作業に潜むリスクを洗い出し、そうした作業とそのリスクに即したリスクアセスメントを行う必要もありま
す。
腰痛の対策
【 作業管理 】
-
●自動化、省力化
(例)台車などの道具や補助機器を使う
-
●作業姿勢、動作
(例)作業台は、ひじの曲げ角度がおよそ90度になる高さとする
-
●作業の実施体制
(例)腰に負担がかかる作業は、無理に1人ではさせない
-
●休憩・作業量、作業の組合せ
(例)適宜、休憩時間を設け、姿勢を変えるようにする など
【 作業環境管理 】
-
●温度
(例)寒い場所での作業は、腰痛を悪化、または発生させやすくするので、適切な温度を保つ
-
●照明、作業床面、作業空間や設備の配置
(例)転倒防止のため、凹凸や段差がなく、滑りにくい床面にする など
【 健康管理 】
-
●健康診断
-
●腰痛予防体操 など
【 労働衛生教育 】
(例)機械を使わず人力によってのみ作業をする場合の重量は、男性(満18歳以上)は
体重のおおむね40%、女性(満18歳以上)は、男性が取り扱う重量の60%程度とする。
など
参考文献:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」
カテゴリー:その他