GMPエリアの清掃用具管理ポイント:~品質を守るために~
2025.01.29
今月の筆者はGMPエリアを含む工場に常駐し、日常清掃、高所清掃、定期清掃、特別清掃を管理及び施工
しております。GMP(Good Manufacturing Practice)エリアでは、製品の品質と安全性を確保するため、
清掃用具の管理が非常に重要です。適切に管理された清掃用具は、交差汚染や微生物の繁殖を防ぐだけで
なく、作業効率を高める効果もあります。本記事では、GMPエリアでの清掃用具の管理におけるポイント
を解説します。
1. 清掃用具の選定
GMPエリアで使用する清掃用具は、次の基準を満たす必要があります:
• 耐薬品性:洗浄剤や消毒剤の影響を受けにくい素材を選ぶ。
• 洗浄しやすさ:複雑な構造の用具は避け、簡単に分解や洗浄ができるものを選ぶ。
• 素材の非反応性:ステンレススチールやポリプロピレンなど、反応を起こしにくい素材を使用。
2. カラーコーディングによる管理
エリアごとや用途ごとに清掃用具を色分けする「カラーコーディング」は、交差汚染防止の有効な方法です。
例えば:
• 緑:日常エリア
• 青:充填室エリア
• 赤:製造エリア(汚染リスクが高い場所)
この方法により、清掃用具の誤使用を防ぎ、管理を簡素化できます。
3. 清掃用具の保管
清掃用具を適切に保管することで、汚染のリスクを低減できます:
• 専用の保管場所:清掃用具はエリア外での保管を避け、専用のラックやキャビネットに整理する。
(筆者の管理する工場では、各フロアにラックを用意し、それぞれのラックに清掃用具を用意し、別のフ
ロアへ持ち出しの必要がないようにしています。作業者が用具も持ち出す手間を省き、万が一用具に汚れ
が付着したままの際、他のフロアへ汚染を広げないようにしています。)
• 乾燥状態の維持:使用後は完全に乾燥させてから保管する。湿った状態は微生物の繁殖を促す可能性が
あります。
(使用後に水気を切ることは当然ですが、収納時に床に付着したままにならないように収納しています。)
• 定期的な点検:破損や摩耗した清掃用具はすぐに交換する。
4. 使用後の洗浄と消毒
清掃用具そのものが汚染源とならないよう、使用後の洗浄と消毒は徹底する必要があります。
• 洗浄の手順を標準化:洗浄プロセスをマニュアル化し、誰が清掃を行っても同じレベルの清潔さを維持
できるようにする。
• 適切な洗浄剤の選定:汚れの種類や清掃用具の素材に適した洗浄剤を使用。
• 消毒後の確認:消毒後の表面や状態を目視や検査で確認する。
5. 清掃記録の管理
清掃用具の管理と同様に、清掃活動の記録も重要です。記録を残すことで、トレーサビリティを確保し、
GMP監査にも対応できます。
• 清掃の日時、担当者、使用した清掃用具、作業方法、頻度を明記。
• 定期的に記録を見直し、改善点を把握する。
6. トレーニングの実施
清掃用具の適切な使用方法と管理方法について、スタッフ全員にトレーニングを実施しましょう。知識の
共有により、全体的な清掃の質が向上します。特に入社時の教育には注意し、3ヵ月後のチェック、1年ご
との再教育等、周期を決めての確認が大事です。
まとめ
GMPエリアの清掃用具の管理は、製品の品質維持や汚染防止の観点から欠かせません。適切な用具の選定、
保管、洗浄方法を徹底し、記録管理とトレーニングを組み合わせることで、効率的かつ確実な清掃プロセ
スを実現できます。GMPエリアで働く全ての人が、この管理の重要性を理解し、日々の業務に活かすこと
が成功の鍵です。
カテゴリー:実績・事例紹介