ゴキブリは本当に死ぬ前に卵を撒き散らすのか?

2016.03.30

春の日差しが日に日に暖かくなってまいりました。もう害虫の季節ですね。町を歩いていても、ふとした拍子にクロバネキノコバエやノミバエが目に付くようになってまいりました。となれば、もうすぐゴキブリの季節です。

ところで、皆様はゴキブリについていったいどの程度ご存知でしょうか? と言うのも最近、こんな雑学を耳にしたのです。曰く、

「ゴキブリを叩き潰すのは良くない。ゴキブリは死ぬ前に卵を撒き散らす。だから、ゴキブリを叩き潰すと、卵がそこら中にばら撒かれて、よけいにゴキブリが増えてしまう」

さて皆様、このお話をどう思いますか? 「あり得る話だ」と思ってしまった方はご用心。誤った情報なのです。

ゴキブリの卵は通常、卵鞘(らんしょう)という硬い皮のようなものに包まれています。見たことのある人ならば、ゴキブリの卵と聞けば1㎝弱の小豆色をした粒を思い浮かべるのではないでしょうか。これが卵鞘です。この中に、種類によっても違いますが20~30個ほどの卵が詰まっています。卵鞘は一般的には中の卵が孵化するまで開くことがなく、産まれる前に卵鞘が壊れると卵は死んでしまうことが多いようです。しかも、メス成虫は、一度に卵鞘を一つずつしか産むことができません(しばらく日を置けばまた産めるようになります)。これでは卵を撒き散らすなんてできるはずありません。

しかしこの噂、全くの嘘というわけでもないのです。ゴキブリは卵鞘を産んだ後、しばらくの間は卵鞘を腹部の先につけて行動します。クロゴキブリなどは、結構早めに、壁などに産み付けてしまいますが、チャバネゴキブリなどでは孵化するまで腹端に卵鞘をつけたままのことが多いです。ですが、母ゴキブリは自身の危機が迫ると、ポロリと卵鞘を落としてしまうことがあります。このことが、噂の原因の一つかもしれません。しかしチャバネゴキブリの場合は、卵鞘が母から離れると孵化率はだいぶ落ちてしまうようです。

ゴキブリには繁殖力が強いというイメージがあります。そんなイメージが先行してしまい、こういった噂ができたのかもしれません。また、映画や漫画に出てくるモンスターは死ぬ前に仲間を大量に生んだり卵を残したり、そんなお話のイメージもこういった噂を作った原因の一つなのでしょう。

害虫は人に身近であるがために、このような誤った情報も耳にすることがあります。しかし、害虫の防除には正しい知識と対策が必要になります。

害虫でお困りの際は、是非弊社へご相談ください。

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