エアカーテンでの防虫

2024.03.28

食品工場や医薬品倉庫、精密機器の工場などでは、防虫対策のためのエアカーテン設置が当た

り前になっています。しかし、「エアカーテンが付いているなら、昆虫が侵入してくることは

ないだろう」と思ってしまうと大変な事になります。

 

「エアカーテンを設置しているのに、虫の侵入が減らない」

そのような相談をいただく事がよくあります。これは何故なのでしょうか。

 

まず、設置の位置が間違っておりエアカーテンが十分な効力を発揮できていない可能性が挙げ

られます。これは工事の時点で気をつけなければならない内容ですが、設置後も風速や風向等

の設定が現状にあっていなければ満足な防虫効果は得られません。

ユスリカなどの小さな羽虫の仲間は、弱い風でも対応できますが、飛行能力の高いハエ類(キ

ンバエやイエバエなど)の侵入を防ぐためには強い風が必要になります。しかし、強すぎる風

は向きを間違えると周囲の空気を巻き込んでしまい、小さな羽虫などを逆に建物内に引き込ん

でしまう事もあります。

エアカーテンの機種によっては、風速ごとに対応できる虫の種類などをメーカーで提示してい

ますので、設定の際にはそれらのデータが参考になります。

 

また、エアカーテンが設置されていたとしても、扉が常に解放状態であれば昆虫はどんどん侵

入してきてしまいます。エアカーテンは、あくまで扉を解放した際に侵入してしまう虫の数を

減らすためのものですので、普段は扉が閉じられている事が前提になります(エアカーテンの

みで、完全な防虫は不可能)。

開閉回数や開口時間を減らすなど、運用的な取り組みができていなければエアカーテンは十分

な力を発揮できません。

 

エアカーテンの設置は大きな防虫効果をもたらしますが、上記のように気をつけなければなら

ない点もいくつかあります。普段どんな種類の虫が侵入してきており、それをどの程度に抑え

たいかそれらを考えていく上でも、普段の昆虫モニタリングが大事になってきます。

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